園便り 2025年7月

園便り

今月の園便り 2025年7月

 カリタス幼稚園には図書室の「ぐりとぐらの部屋」があり、季節や行事ごと見やすいように絵本が配置されています。図書司書の先生が、以前借りた本や好みを覚えていて、お勧めの絵本を紹介してくれます。ある時、何十年も前子どもの頃に読んだ『ちびくろさんぼ』を見つけ懐かしくなり思わず借りました。「虎がぐるぐる回っているうちにバターになって、お母さんがホットケーキを焼いてくれた」それを鮮明に覚えていたのです。当時の私にとってちびくろさんぼのホットケーキとバターは、憧れの食べ物でもありました。子どもの頃の記憶を辿りながら、懐かしい友人にあったようで嬉しくなりました。

 カリタス幼稚園では絵本の貸し出しをしています。子どもたちは、好きな絵本を選び家に持ち帰ります。友達が選んでいる間は、大型絵本を何人かで囲んで子ども同士の語り合いを楽しんでいます。1冊の絵本を分かち合う姿には、「互いに育ち合う」を感じます。同じ本やシリーズを何度も借り楽しんでいる子どもは、本のなかに親しい友達と語り合える感覚があるのだと思います。子どもの頃に育まれた感性は、大人になってもその人らしく生きる糧となることでしょう。

 カリタス幼稚園の子どもたちは自分で「お仕事」や「絵本」を選びます。“選ぶ”ということは、子どもの主体性を育む大切なものです。選んだものがちょっと違うと感じたら新しいものを選び直し、次の人のためにきちんと元に戻すこともモンテッソーリ教育のひとつです。これから成長していくうえで、何かを選ばなければならない時がきます。その時、幼稚園で身に付けた“選ぶこと”の感覚が、助けになると思います。

 この暑い夏、外で遊ぶことが難しい時は、部屋の中でゆっくりとお子さんが選んだ絵本を一緒に楽しんではいかがでしょうか。

 


                  


 

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