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カリタスで学んで
卒業によせて「ミッションスクールに学んで」
私は六年前、カトリックのミッションスクールであるカリタス小学校に入学しました。カリタス小学校では、勉強はもちろん、思いやりや感謝の気持ちを大切にすることを学びました。ふり返ってみると、私の心の成長にとって、とても大切な時間だったと思います。
ミッションスクールならではの経験の一つに「お祈り」や「宗教の授業」があります。最初は、お祈りの意味がよく分からず、ただ言葉をくり返しているだけでした。でも今は、お祈りを唱えるだけで、気持ちが落ち着き、心が温かくなるような気がします。私がお祈りの中で好きな言葉は「主はあなたと共におられます」です。その言葉を聞くと、緊張している時でも安心することができるのです。
また、学校で学んだ「助け合い」の大切さも心に残っています。私はクラスで、ある友だちが悩んでいる時に声をかけられなかったことがありました。でも、宗教の授業で「隣人愛」という言葉を知り、「困っている人がいたら、そっと手を差し伸べることが大切」と学びました。その後、勇気を出して「大丈夫?」と声をかけると、友だちが笑顔になり、私も嬉しくなりました。小さなことでも人を思いやる気持ちが大切なのだと実感しました。それ以来、クラスで誰かが困っているときには、自分から声をかけるようにしています。
さらに、私にとってわすれられない経験の1つに1・2年時の羊と山羊の飼育があります。最初は怖くてなかなか触れなかったけれど、毎日えさをあげたり、小屋を掃除したりしているうちに、少しずつ羊がなついてくれるようになりました。そして春になると、山羊が3匹の可愛い赤ちゃんを産みました。小さないのちが生まれる瞬間はとても感動的で、初めて抱っこしたときの温かさは今でも忘れられません。この経験を通して、命の大切さや、動物を愛する気持ちが育まれたと思います。
また、学校行事の中で特に印象に残っているのはクリスマスミサです。私は5年生と6年生の二年間、聖歌隊に入り、みんなの前で歌ったり、ハンドベルの演奏をしたりしました。ハンドベルの演奏では、一人ひとりの音が重なって美しいメロディーが生まれ、みんなで心をひとつにすることの大切さを実感しました。演奏が終わった時、聴いてくれた方々が拍手をしてくださったのがとても嬉しく、達成感を覚えました。
六年間の学校生活を通して、私は勉強だけでなく、人を思いやること、感謝すること、そして神さまに見守られていることを学びました。中学校に進んでも、このミッションスクールで学んだことを大切にし、人に優しく、自分に正直に生きていきたいと思います。そして、これからも神さまの教えを心の支えにしながら、新しい環境でも頑張っていきたいです。
ぼくは小学校六年間ミッションスクールで学んできました。だから宗教の時間を中心に、朝礼のお祈りや行事など、折りにふれてイエス様の生き方や聖書の言葉をたくさん聞いてきました。
今、この六年間をふり返って、ミッションスクールで何を学んだのか考えると、ぼくがその中で一番心に響いた言葉は「自分の敵を愛しなさい」という言葉です。
「敵」、つまり自分がいじわるだと感じたり、苦手だと思う人のことを「愛しなさい」と言ったりすることは、ぼくには、とても難しいことだと思ったからです。例えば、みんなが守っているルールをずるして守らない人がいたら、ぼくはその人に対して嫌悪感を抱いて、嫌だなあ、苦手だなあと思います。でも、神さまは、そんな相手のことも「愛しなさい」と言っているのだと思うと、とても難しいことだと感じました。ぼくは六年間で敵を愛することができたのかと言われたら、できたとはとても言えないと思います。
なぜ、イエス様は「自分の敵を愛しなさい」と教えたのかを考えてみました。1つ目は、争いのない平和な世界を望んでいるからだと思いました。自分にとって嫌なことをしてくる人を大切にしたら、その相手は嫌なことをしづらくなって、結果的に自分の嫌だと思う気持ちがなくなっていくのかなと思いました。
2つ目は、神さまは全ての人を愛しているから、神さまに愛されている者同士、イエス様は仲よくすべきだとおしえてくれているのだなと思いました。この世の全てを神さまは「よし」とされたと聖書に書いてあると習いました。この世の中には神さまが必要だと思って、よいとされたものだけがあるということだと思います。そう思えば、苦手な人や嫌いな人のことも少しは好きになれるのじゃないかと、ぼくは思っています。
例えば、総合の授業で意見がすれ違ってけんかのように言い合いをしてしまったとしても、相手も自分も神さまに必要だと思われているのだから、自分の意見だけが正しいと決めつけないで、相手の話もよく聞いて理解しようとしなければならないと思います。
今の自分にはなかなか難しいこともあるけど、中学生になったらこれまで以上に色々な人と関わると思うので、今まで以上に相手のことを愛して相手の話を聞きたいと思います。
家にあるマザーテレサのカレンダー、今月の言葉は「困難なことを問題とは呼びません。チャンスと呼びます。」でした。「敵を愛する」ことは、今の自分にとって簡単ではないですが、嫌だなと感じることや人に出会ったとしても、イエス様の言葉を思い出して、チャンスに変えていきたいです。
「ともに 祈り 学び 仕える人に」を目標に六年間を過ごしました。その生活の中で特に印象に残ったことが二つあります。
1つ目は、朝のお祈りです。私のいた保育園もキリスト教だったので、お祈りをすることはありました。ですが、朝にお祈りをしたり、帰りの会の後にお祈りをしたりすることもなかったので、お祈りの時間が特別な感じがして楽しみでした。帰りの会の後にするお祈りで、今日あったこと、最近のこと、これからのことを自由に書いてお祈りをすることもすごく楽しかったです。たまにお祈り書くのめんどうくさいな、いやだなと思ってしまったり、なんでお祈りをしてるんだろう、何の意味があるのかなと思ってしまったりもしました。でも、今では、お祈りってすごくいいなと思っています。お祈りをすると、嫌な気持ちがなくなってすっきりするからです。お祈りするということを、これからも大事にしてきたいです。
2つ目は、ペアのことです。今までのペアは接しづらいこともありました。でも、6年生になると、1年生が年下だな、かわいいと思うようになりました。6年生からみる1年生はこんなにかわいいんだと思いました。ペアの子に6年生として役に立ちたい、喜んでもらいたいと思いました。ペアの子は、大人しい子でした。だから、楽しかったかを聞いてもあまり返事が来なくて楽しんでくれたかな、喜んでくれたかなと心配になりました。でも、最近は遊んだ後に楽しかったかを聞くと「すごく楽しかった。」と言ってくれるようになりました。交流会でくれる手紙にも「こんなことがあって、すごく楽しかった」と言ってくれるようになって、喜んでもらえたんだな、ペアの子の役に立つことができたことを知って嬉しくなりました。
6年間過ごしてきて学校の代表になるようなコパンなどの活動はできませんでした。それでも、「ともに 祈り 学び 仕える人に」という目標を通してカリタスでしか学べない「特別なもの」をたくさん学ぶことができました。
六年間の経験を生かして、中学校でもがんばっていきたいです。カリタス小学校での六年間、楽しかったです。
保護者の声
学校が自然豊かな環境にあり、屋外や校外学習なども多く、とても楽しそうに学んでいました。同時に、好奇心や創造力、たくましさも育ててくれたと思います。特に1・2年生の頃は親の参加する場も多く、共に学ばせていただき感謝しています。多摩川探検や山羊・羊のお世話は、親にとっても楽しく新鮮な経験でした。山羊の出産も経験でき、子どもは自然な形で命の尊さを感じ取っていました。
また、カリタスの素敵だなと感じることの1つに、上級生が下級生をサポートする文化があるところです。娘が1年生の頃、駅で歩く1年生を見つけては、5・6年生が声をかけてバス停まで一緒に歩いている光景を何度も見ました。心が温まりました。ペアクラスのシステムも同様です。1年生の頃、6年生のペアにしていただいたように、今は、1年生のペアの子どもを可愛がり、お世話をさせていただいています。
良いところはまだまだ沢山あり、総合学習や宿泊学習も素晴らしいのですが、何より素敵なところは先生方の愛情が深いところです。どんな時も、子どもに関心を持ち、寄り添って下さいました。子どもも、親も、先生方への信頼はとても大きなものでした。安心して学校に通わせることができました。
長期間のオンライン学習期間、先生方は何度も素晴らしい動画を送って下さいました。涙が出ました。忘れることはありません。
教育活動全般にわたり、先生方が子どもたちのためになにが一番大切かを常に考え、工夫し、実践に移していらっしゃる点が素晴らしいと思います。一生懸命に取り組んでいるその姿が子どもたちに伝わり、子どもたちもそれに呼応するように積極的に学び取ろうとする姿につながっていました。アスフェス(運動会)などの各種行事や、学習発表会などで先生方がとても念入りに準備されているのをいつも感謝の思いで拝見していました。伝統の総合学習の面白さも期待のさらに上をいっていました。しっかりと学びを結実させることが難しい教科ですが、身近なところからテーマを発掘して子どもたちの自主性を引き出し、ひとつの方向性を導き出していく先生方の粘り強い指導力を痛感しました。
コロナ禍でのICTを活用した様々な授業では、素早く体制を整え、他に類を見ない質の高いリモート教育を展開していました。体育のリモート授業で、家の中で楽しく踊っていた姿が忘れられません。伝統を大切にしつつ、新しいことにも果敢に挑戦していこうという進取の気性に富むところも大きな特徴と言えると思います。
入学して間もない頃、当時の内藤校長先生がおっしゃっていた「カリタスの教育はみんなで作りあげていく」という言葉が今も心に響いています。低学年の多摩川探検や動物たちのお世話に始まり、学校と保護者が手を携えて学びを作り出していく環境は、子どもたちにとって理想的です。学校での生活ぶりや成長を間近に感じつつ、親も一緒になって様々な教育活動に参加できることがとてもうれしかったです。そして、この手作り感こそがカリタス小学校の教育の醍醐味なのだと感じております。
娘はカリタスでの生活を心から楽しんでおりました。お友だちや先生たちと毎日どんなことを話そうか、何をして過ごそうかと心待ちにいていたように見受けられます。あまりに学校が大好きで「学校で暮らしたい」と言ってるぐらいでした。こんな楽しい日々がいつまでも続いてほしいと願っておりましたが、いよいよ卒業なのですね。
コロナ禍で学校に通えず、オンライン授業を受けていた時期に、子どもたちに向けた動画配信がありました。先生方がポップな音楽に合わせ、コミカルな内容と慣れていないダンスを一生懸命に踊る姿に、最初は子どもと笑いながら楽しく見ていましたが、見終わった後には涙が溢れていました。毎日、不安に過ごす子どもたちと保護者に向けた愛溢れる先生方からの応援メッセージは「一人じゃないよ!」「みんなで乗り越えよう!」と温かく、熱いメッセージに心を打たれたのだと思います。カリタスを愛し、子どもたちを愛する先生方がいる。カリタス小学校の最大の魅力だと思っております。