WFPチャリティーエッセイコンテスト2020①

国連世界食糧計画「WFP」がノーベル平和賞を受賞したニュースはご存じのことと思います。この国連WFP協会が主催するエッセイコンテストは10年の歴史があり、カリタス小学校ではエッセイコンテストという名称になる前から高学年の児童が毎年応募しています。作品の応募により、「食」について考えられると共に、応募1作品につき給食3日分(90円)が国連WFPに寄付され、世界の食糧支援が必要な子どもたちのために届けられています。「世界の食糧事情」や「飢餓」について考えるきっかけにもなっています。

今年度も、カリタス小学校では4年生以上の全児童が応募し、いくつかの賞をいただきました。それらの作品を6回にわけて紹介します。

小学生部門賞 「父のごはん」  6年 片岡泉

父は料理をあまりしない。海外に単身赴任していたこともあるのだが、赴任するときは、調味料や調理器具など一式持っていったらしい。父は「最初はがんばった」そうだ。でも数か月後、自分の料理より近所のお店の方が美味しいということに気づいてしまったらしい。「せっかく海外にいるんだから、現地の料理を食べなくちゃ」と言い訳をして自炊をやめてしまったようだ。
赴任中は、年に数度しか帰宅しなかった。だが、帰宅すると私に弁当を作ってくれた。私の大好きなピーマンとウインナーの正油いため。それに、プチトマトとブロッコリーを入れただけという簡単なおかずだ。だけど、ご飯はスゴイ。白米の上に大きくカットしたのりで「父」という一字をのせてあるのだ。フタをあけた時はびっくりした。一生懸命のりを切ってくれた父の気持ちがうれしくて、それだけで、幸せな気持ちになった。
今回、新型コロナウイルスの拡大による自粛生活で、父が、またまた料理を作ってくれた。チャーハンだ。大きな肩を丸めて、一生懸命食材をみじん切りにしている。それから、フライパンを大きく揺すって、ご飯を宙に浮かしたりしながらプロのような手つきで炒めている。結果はコンロのあちこちにご飯が散らばってしまった。そのちょっと笑っちゃう姿を見て、食べる前からなんだかワクワクしてきた。さあ、できた!
味は、ちょっとしょっぱかった。さっきこれまたプロを真似て、鍋のはるか上から格好つけて塩を振りまくっていたのを見た。でも、美味しかった。思わず「おいしい!」と言ってしまった。
美味しさって、食材が高級であるとか、味付けが上手とかで決まるものではないんだ。作る人の思いが伝わってくると、美味しくなる。それを教えてくれたチャーハンだった。
家族に笑いを届ける父の料理がこれからも楽しみだ。

 

【選者のコメント】
三國 清三さん(国連WFP協会顧問 オテル・ドゥ・ミクニ オーナーシェフ)
コロナによって様々な環境が変わった。今までの歴史の中でも一番か二番位かと思う。その分、私たちに一番か二番の大事な気づきを教えてくれた。単純な事に感謝したり、感動したり、ある意味ありがたい事である。父親はあまりご飯を作らないが、もともと男の人は料理作りが好きだ。お母さんもそうだが、人は褒められると木に登る思いである。褒めてあげると喜んでますますはりきって作るものである。お母さんもしかりである。褒めて下さい。そうすると自分も幸せになります。ただプロは、貶されれば貶されるほど、力をつけていくものだ。しかし、家族は褒め合って幸せになるものである。コロナは実は、人々に気づかせるきっかけかもしれない。

https://www.wfpessay.jp/2020/essay02.html

WFPチャリティーコンテスト2020 HPより