WFP チャリティー エッセイコンテスト2024 ③

カリタス小の入賞した作品を紹介いたします。

◎佳作   「ごはんの力」

私が幸せを感じるときは、家族や友達と食事をする時だ。みんなに囲まれて食べるごはんは1人で食べるより何倍もおいしく感じる。なぜなら、作った人の思いがこめられていて、元気になるエネルギーをもらえるから。

私の母は、私を産むために18時間も陣痛をたえたそうだ。私を産む数時間前に、体力・気力をふりしぼるために、父が小さなひと口大のおむすびを、母に作ってあげたと聞いている。食べることは、人に生きるパワーを与えてくれるのだなとわかった。

だが私には、食事をしてもおいしさを感じなくなった時期があった。ウクライナとロシアの戦争が毎日ニュースに流れるようになってからだ。大勢の人々が犠牲になり、見ている私まで死への恐怖が増していった。いつものどの奥に何かがつまっている気がして、気持ちが悪かった。

私の心の苦しさを母に思い切って話してみた。母は何も言わず聞いてくれた。1人で抱え込むより少しスッキリした気がした。

その時の夕ごはんに母が作ってくれたのは、卵雑炊だった。私が幼い頃、風邪をひいた時よく作ってくれたものだ。その雑炊は何の抵抗もなく、のどを「スーッ」と通っていった。優しい味だった。

「どんな人にも朝はくるよ。」と母は言ってくれて、前向きに考えられるようになった。そして、周りにいる友達の優しさにもっと気付くようになった。

世界には、戦争や貧国で食事を十分にとることの出来ない子ども達が沢山いる。その子達が心の支えになる人を見つけられて、少しでも心と体の栄養となるごはんが食べることが出来ますようにと心から願う