WFP チャリティー エッセイコンテスト2024 ⑥

カリタス小の入賞した作品を紹介いたします。

◎佳作   「優しい半分こ」

「帰って来たら遊ぼうね。」
そうやって私の幼稚園の友達は小学生になる時にお父さんの仕事でシンガポールに行くことになった。今もシンガポールに住んでいる。優しくてお姉さんみたいな友達が私は大好きだった。二人で夢中で遊んでいたのは向かい合ってぐるぐる回る地球儀みたいなジャングルジムだった。そして、なんといってもその友達は食べることが好きだった。昼になるにつれ友達は元気がなくなる。お腹すいたね…。そうか。お腹がすくからだ。
そして昼ごはんになった。席替えで初めて友達と食べることになった。友達はご飯を見てたちまち笑顔になり、そして食べることがびっくりするほど早い。あまりにも食べるのが早く、あっという間にどんどんお皿が空になり美味しそうに食べるものだから、私は当時クリームコロッケが苦手でしょうがなかったけれど、えいっと一口食べてみた。なぜだろう。不
思議と美味しかった。美味しい・・・。私が言うと隣で食べていた友達はお姉さんみたいに半分こあげようか?と私に言って半分お皿においた。クリームコロッケは最後までとってあったから友達の一番好きなものに違いないと私は思っていた。大好きな物なのにいいのかなと思った。今思えばきっと私が美味しそうに食べていたから半分くれたのだと思う。そんなえいっと食べたクリームコロッケは今では私の大好物な物の一つだ。私は幸せご飯は好きな家族、好きな人と食べる優しさのご飯だと思う。幼稚園でお腹がすくと友達が元気がなくなったようにご飯は生きていく上で必要で大切な宝物だ。そして半分こあげようかも誰とでもできる優しい魔法の言葉だと思う。幼稚園の頃二人で向かい合って遊ぶぐるぐる回る地球儀みたいなジャングルジムのように今日もまた地球の違う国で友達はご飯をきっとあの笑顔で食べていて、今日もまた地球の違う国で私もご飯を食べて笑顔になる。友達が帰ってきたら、今度は優しさを返したい。