3年3組総合「みつろうラップ」~その後~

春休みに入り、新年度も近づいてきていますが、3年3組の総合「学んで歩んでみつろうラップ」には、この春休み期間に一つ、ドラマがありました。

「お世話になった養蜂家の塩原さんに、みつろうラップをプレゼントしたい」という子どもたちの声から、塩原さん宛てにみつろうラップを作り、お渡しすることになったのです。担任が直接お届けに参ることができたのが、春休みでした。

見てください、この、おふたりの嬉しそうなお顔を。塩原さんはみつろうラップを手に取り、「すごーい、本当にできてる」と感心しっぱなしでした。

すると塩原さん、「体験のときの写真、お持ちですか?」と一言。「みつろうラップと一緒に養蜂園に飾りたいんです」。蔣平さんたちにとっても、カリタスの子どもたちとの出会いをかけがえのないものと感じてくださったようです。「みつろうラップを作ってみませんか?」など言葉を添えて飾ろうかな…とおっしゃっていました。近いうちに『多摩養蜂園』を彩る日が来ると考えると、嬉しくなります。

さて、この頃、ミツバチたちはと言えば、冬を越し、活動を開始しているみたいです。今はさくらのシーズン。夜は巣箱に戻るという蜂の習性を生かして、真夜中に巣箱ごと、さくらのエリアに移動させているのだとか。なんてこった…養蜂家さんの仕事、恐るべし。

最後、蔣平さん、深々と頭を下げてお礼をしてくださいました。こちらこそです。私自身も「ありがとうございました」と、3年3組を代表してしっかり伝え、養蜂園をあとにしてきました。塩原さんとの出会いに、心より感謝です。社会で生きる“人”と出会って、学んで歩めた総合は、かけがえのない思い出となりました。塩原さん、誠にありがとうございました。

※多摩養蜂園
〒206-0812 東京都稲城市矢野口1792
南武線「矢野口」駅、京王線「京王よみうりランド」駅から、徒歩。ぜひ、足を運ばれてみてください。

4年生 社会科見学

12月3日(金)、4年生は神奈川県三浦市へ社会科見学に行きました。まずは三浦大根を栽培されている農家、菱沼さんに大根掘りを体験させていただきました。実際の三浦大根を目の前にして、その大きさ、太さにびっくり!一人ではとても抜ききらないという子も。友だちに手伝ってもらったり、何とか一人で頑張ったりして、無事に一人一本の三浦大根を抜くことができました。菱沼さんへの質問コーナーでは「三浦大根を育てる上で大切にしていることは?大変なことは?」「いつ頃三浦大根がスーパーなどに出るのか」など、たくさんのことを菱沼さんにたずねていました。生産者の思い、三浦大根の流通・販売、三浦大根の特徴やそのよさなど、たくさんの学びを得ることができました。週明け、子どもたちは「先生!持って帰った三浦大根をお鍋にして食べたよ!」などと、そのおいしさとうれしさをいっぱいに語ってくれました。
午後は長井海の手公園・ソレイユの丘で遊びました。いくつかのエリアに分かれて遊びましたが、それぞれの班が事前に計画を立てていたので、自ら責任をもってグループで協力しながら遊ぶことができたと思います。例年は入らない動物ふれあい広場にも行きました。ひつじと2年間一緒に生活してきた子どもたちは、臆することなく動物たちと楽しくふれあっていました。

WFPチャリティーエッセイコンテスト2021 入賞者と入賞作品の紹介

今年度も4年生以上の全員が、WFPチャリティーエッセイコンテストに応募しました。作品を応募すると、1作品につき途上国の給食3日分にあたる90円が協力企業により寄付される仕組みとなっています。作文を書くことが、支援につながるのです。子どもたちにもできる支援です。カリタス小学校では、15年以上、このコンテストに応募しています。
その中から、2人の作品が入賞しました。心温まる文章をお読みください。

小学生部門賞「受け継ぐ母の味」  6年 吉田美緒

やさしくてあまーい香りが、玄関ドアのすき間を通り抜けて、母よりも一足早く、私を「おかえり」と迎えてくれる。牛乳とパンの香り。でも、バターの香りはしないから、フレンチトーストじゃない。お母さんのお母さんのお母さん-私のひいおばあちゃんから続く味、パンプディングだ。ドアが開くと、母の笑顔と一緒に、パンプディングの優しい香りに、私は包まれた。
「ひいおばあちゃんの時代には電子レンジなんてなかったでしょ?おばあちゃんの時もレンジにスチーム機能は付いていなかったから、ずっと蒸し器で作ってたんだよ。」
パンプディングを作る度に、毎回その話をする母も、レンジもオーブンも使わず、おばあちゃんたちと同じ様に、蒸し器でパンプディングを作り続けている。その理由を聞いたことはないが、私は最近分かってきた。
「蒸し器で作った方が美味しいから?」
多分、そんなに変わらないだろうから違う。
「蒸し器の方がふんわり仕上がる?」
それはあるかもしれない。でも、理由はそこではない。
私にとって、母の味は何だろうと考えた時、それは、決して味の記憶だけではないことに気付いた。湯気と共に家中に広がる、牛乳と卵のあまーい香り。蒸気がお鍋の蓋を押し上げて、カタカタ鳴らせている音。そして、立ち昇る湯気の向こうでほほ笑む、母の姿。
母も祖母も、きっと、この香り、音、温かい空気を、ずっと大切に受け継いで来たのだ。
二十年後、三十年後、生活は今よりももっと便利になっているだろう。それでも、私はきっと、相も変わらず、蒸し器をカタカタ鳴らしていることだろう。
湯気の向こうから、「ご名答ー」と、ひいおばあちゃんの声が聞こえたような気がした。

佳作(小学生部門)「おばあちゃんのお届けもの」  4年 野村虹七

八月七日、寝ている間に大雨が降った。二階に降りた母の叫び声が聞こえた。私は慌てて階段をかけ降りた。眼に映ったものは、水浸しのダイニング。呆然とした。母がタオルを取りに一階に降りると、また叫び声が聞こえた。父の書斎も洗面所も水浸しだった。
私達は雑巾で床を拭き続けた。ずっと終わらないかと思った。いろんなものが濡れた。父の書類、ラグ、ソファ、掃除機、ピアノの楽譜、椅子、テーブル…。何日もかけて掃除した。拭いても乾かしてもだめなものはゴミ袋に入れて捨てた。十二袋になった。
母はその日から雨の音を聞くと心配で眠れなくなった。食欲も無くなり、どんどん元気がなくなっていった。キッチンもしばらく使えず、ご飯を作ることもできなかった。そんな時に祖母がちらし寿司を作って来てくれた。錦糸卵がたっぷりのっていて、鮭と白胡麻も混ぜてあった。甘酸っぱくてシャキシャキした真っ白なれんこんも入っていた。小さなびんも入っていた。家族みんなでこれは何だろうと首をかしげながら、食べてみた。
「すっぱーい。」
びんには千切りしてお酢を漬けた新生姜が入っていた。それまで食欲の無かった母はバクバク食べた。みんなおかわりをした。すっぱいものが苦手な私も夢中で食べた。食卓に笑顔の花が咲いた。久しぶりに声を出して笑った。びんの中身はあっという間になくなった。
次の日、祖母に電話をかけ、とっても美味しかったこと、おかわりもしたこと、元気が出たことを伝えた。祖母は、
「わざわざ電話をしてくれてありがとう。」
と嬉しそうに何度も言った。
元気を出してほしいと心を込めて作ったご飯には思いが詰まっていて、本当に人を元気にすることができるんだ。そして、感謝の気持ちを伝えると、作ってくれた人も幸せになれるんだと分かった。おばあちゃんに作り方を聞いたから、今日は私が作るね、お母さん。