卒業式

本日、2021年度の卒業式が行われ、102名の卒業生がカリタス小学校を羽ばたいて行きました。

今年も新型コロナウイルス感染症拡大予防のため、ご両親と教員が参加しました。在校生は会場に集まれませんでしたが、5年生が教室からオンラインで参加しました。また、来校できなかったご家族も在宅で卒業式を見られるようにオンライン配信も行いました。

式の始めには卒業証書授与が行われ、一人ひとり校長先生から卒業証書を受け取りました。BGMは6年間の思い出の曲の数々です。壇上の卒業生は、誇らしい顔をしていました。式の最後は卒業生による「別れの言葉」を行いました。6年間の思い出を振り返り、6年間の感謝の気持ちを伝えました。退場のときには、5年生や先生方が体育館から教室まで花道を作り、思い出の「きみがだいすき、ずっとだいすき」を踊って見送ってくれました。温かい卒業式となりました。

卒業生の皆さん、保護者のみなさん、おめでとうございます。いつまでも共に学んだ仲間を大切に歩んでください。

おしゃべり横丁

5・6年生全員が参加する恒例の「おしゃべり横丁」が、9名のゲストをお迎えして行われました。5年生は二人組で「Who am I ? Qui suis-je ?」クイズを、6年生は英仏語で「What makes me happy. Ce qui m’intéresse.」を発表しました。6年生の保護者の方々にも参観していただきました。6年生はロイロノートでスライドを作り、英仏語の二か国語でのスピーチを行いました。5年生のクイズは鉛筆やランドセルなど、身近なものになりきってクイズを作りました。なるほどと納得するヒントや意外な答えもあり、保護者の方も一緒になって楽しんでいる様子がありました。6年生の英仏語スピーチは緊張感がありましたが、それぞれが精一杯取り組みました。第二部のzoomによる閉会式では、ゲストの先生方からのコメントと、アンコールで選ばれた6年生たちのスピーチを聞きました。ジェスチャーや声の調子など、気持ちの入った素晴らしいスピーチでした。

WFPチャリティーエッセイコンテスト2021 入賞者と入賞作品の紹介

今年度も4年生以上の全員が、WFPチャリティーエッセイコンテストに応募しました。作品を応募すると、1作品につき途上国の給食3日分にあたる90円が協力企業により寄付される仕組みとなっています。作文を書くことが、支援につながるのです。子どもたちにもできる支援です。カリタス小学校では、15年以上、このコンテストに応募しています。
その中から、2人の作品が入賞しました。心温まる文章をお読みください。

小学生部門賞「受け継ぐ母の味」  6年 吉田美緒

やさしくてあまーい香りが、玄関ドアのすき間を通り抜けて、母よりも一足早く、私を「おかえり」と迎えてくれる。牛乳とパンの香り。でも、バターの香りはしないから、フレンチトーストじゃない。お母さんのお母さんのお母さん-私のひいおばあちゃんから続く味、パンプディングだ。ドアが開くと、母の笑顔と一緒に、パンプディングの優しい香りに、私は包まれた。
「ひいおばあちゃんの時代には電子レンジなんてなかったでしょ?おばあちゃんの時もレンジにスチーム機能は付いていなかったから、ずっと蒸し器で作ってたんだよ。」
パンプディングを作る度に、毎回その話をする母も、レンジもオーブンも使わず、おばあちゃんたちと同じ様に、蒸し器でパンプディングを作り続けている。その理由を聞いたことはないが、私は最近分かってきた。
「蒸し器で作った方が美味しいから?」
多分、そんなに変わらないだろうから違う。
「蒸し器の方がふんわり仕上がる?」
それはあるかもしれない。でも、理由はそこではない。
私にとって、母の味は何だろうと考えた時、それは、決して味の記憶だけではないことに気付いた。湯気と共に家中に広がる、牛乳と卵のあまーい香り。蒸気がお鍋の蓋を押し上げて、カタカタ鳴らせている音。そして、立ち昇る湯気の向こうでほほ笑む、母の姿。
母も祖母も、きっと、この香り、音、温かい空気を、ずっと大切に受け継いで来たのだ。
二十年後、三十年後、生活は今よりももっと便利になっているだろう。それでも、私はきっと、相も変わらず、蒸し器をカタカタ鳴らしていることだろう。
湯気の向こうから、「ご名答ー」と、ひいおばあちゃんの声が聞こえたような気がした。

佳作(小学生部門)「おばあちゃんのお届けもの」  4年 野村虹七

八月七日、寝ている間に大雨が降った。二階に降りた母の叫び声が聞こえた。私は慌てて階段をかけ降りた。眼に映ったものは、水浸しのダイニング。呆然とした。母がタオルを取りに一階に降りると、また叫び声が聞こえた。父の書斎も洗面所も水浸しだった。
私達は雑巾で床を拭き続けた。ずっと終わらないかと思った。いろんなものが濡れた。父の書類、ラグ、ソファ、掃除機、ピアノの楽譜、椅子、テーブル…。何日もかけて掃除した。拭いても乾かしてもだめなものはゴミ袋に入れて捨てた。十二袋になった。
母はその日から雨の音を聞くと心配で眠れなくなった。食欲も無くなり、どんどん元気がなくなっていった。キッチンもしばらく使えず、ご飯を作ることもできなかった。そんな時に祖母がちらし寿司を作って来てくれた。錦糸卵がたっぷりのっていて、鮭と白胡麻も混ぜてあった。甘酸っぱくてシャキシャキした真っ白なれんこんも入っていた。小さなびんも入っていた。家族みんなでこれは何だろうと首をかしげながら、食べてみた。
「すっぱーい。」
びんには千切りしてお酢を漬けた新生姜が入っていた。それまで食欲の無かった母はバクバク食べた。みんなおかわりをした。すっぱいものが苦手な私も夢中で食べた。食卓に笑顔の花が咲いた。久しぶりに声を出して笑った。びんの中身はあっという間になくなった。
次の日、祖母に電話をかけ、とっても美味しかったこと、おかわりもしたこと、元気が出たことを伝えた。祖母は、
「わざわざ電話をしてくれてありがとう。」
と嬉しそうに何度も言った。
元気を出してほしいと心を込めて作ったご飯には思いが詰まっていて、本当に人を元気にすることができるんだ。そして、感謝の気持ちを伝えると、作ってくれた人も幸せになれるんだと分かった。おばあちゃんに作り方を聞いたから、今日は私が作るね、お母さん。