園便り 平成30年11月

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園便り

今月の園便り 11月

モンテッソーリ教育をカリタス幼稚園の基盤として導入し始めてから17年、本格的にモンテッソーリ園として移行したのが平成17年ですからすでに13年が経とうとしています。毎日の保育活動、クラス編成(縦割り)といった表に見える部分だけではなく、大きく変わったことがあります。「一人ひとりの園児への理解と適切な観察」「指示ではなく援助する教育」「子どもの興味と自主性を大事にする保育」といった姿勢に教職員の統一性が見えてきたことです。子ども観については「どんなに小さくても人格と可能性を持つ一人の人間としてその尊厳を大切にする」ことが徹底されていることでしょう。この当たり前の姿勢は、「幼稚園の先生は太陽になって小さい子どもと一緒に遊べる楽しい仕事」「小さい子にいろいろなことを教えて出来るようにさせる」保育にはありません。毎日の行動観察の中には、日々保育者が一人ひとりの行動や気持ちの変化をきめ細かく観察している様子が伝わってきます。毎日続けているこの観察記録があってこそ翌日の子どもへの声掛けや見方が決まり、日を追うごとに成長する姿に喜びを感じるのです。年長M子4月○日“新しい環境に戸惑っていた。”5月○日“当番活動を意欲的にやっていた”6月○日“お預かりに慣れてとても楽しそう。”○日“○○ちゃんと遊びたくて朝から気にしている。”7月○日“モンテッソーリのお仕事がとても楽しそう。”年少H子4月○日“トイレが間に合わずおもらしをする。教員に伝えられなかった。”5月○日“帰りに必ずトイレに行くことを勧める。言葉をかければ着替えなど一人で出来る。”6月○日“視線を合わせて話すようになる。”7月○日“部屋の中を走り回る。同じことをしている他の年少さんに教え諭す。”年少K男4月○日“ちゃんとやろうという気持ちがある。朝からお仕事に張り切る”5月○日“そろそろ歌声など周りに合わせられるとよい。”6月○日“いろいろなお仕事を勝手にやってしまう。テンションが高い”7月“外から帰ってお仕事モード、絨毯を出すが時間がなくなった。”年中H子4月○日“み言葉プリントを友達と一緒に見本を見ながらやっている。”5月○日“初めての当番頑張る。”○日“組紙すぐ飽きる。”○日“組紙バッグにする。縫いさし玉結び覚える。”6月○日“お仕事の時間が短くポシェット作りが進まずちょっとイライラ。”7月○日“誕生会、本当の誕生日と重なり楽しそう。”

教師は「使命感と誇りを持って日々の保育に力を注ぐこと」が必要です。子どもに寄り添い言葉にならない声を聞き取り、「あなたは大切な人」「あなたはあなたでよい」の気持ちを伝え続けます。しかしながら、一人の子どもを人格あるものとして誇り高く育てたい時、甘やかしでは育ちません。「いけないことはいけないとしっかり伝える」「自分自身をコントロールできる自律心を育てる」ことがとても大切です。元気で面白い子は人気者です。しかし、目上の人に対する言葉づかいや、場所をわきまえた子どもなりの自分を律する力はとても大切なことです。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」
<協同性>

友達と関わる中で、互いの思いや考えなどを共有し、共通の目的の実現に向けて、考えたり、工夫したり、協力したりし、充実感を持ってやり遂げるようにする。(教育要領原文 領域 人間関係)

幼稚園は子どもたちがみんなと一緒に過ごす場です。初めて集団の中で過ごす子どもたちは「自分が、自分が!」という時期が過ぎ4歳ごろになると、みんなで一緒にする活動の中で、ときには自分のやりたかったことを譲って、友達を手助けする姿が見られるようになります。そして活動が進んでいくうちに、「一緒にやりたい。」「一緒に作りたい」という気持ちが芽生えます。一緒にやるからこそ、相手に譲ったり、相手から譲られたりする経験をし、自分の思いを伝えることや、仲よく協力することも知ります。

子どもたちは「友達と一緒にやる」ことで、自分一人でやるよりも、もっと大きくて素敵なことが実現することを分かってきます。この経験を積み重ねることで、協同することの楽しさや嬉しさを実感し、自分も相手も満足できるように工夫する方法を身につけていきます。楽しさや嬉しさを実感した子どもは、相手に対する思いやりが育ち、時には我慢することも気持ちの良いことであることを知ります。