園便り
今月の園便り 平成31年3月
子どもへの虐待事件の報道が後を絶ちません。我が子の誕生をあれほど喜び祝う親が何故このような行為をしてしまうのか、子どもへの怒りについて考えてみました。私はよく大きな声で子どもに注意することがあります。しかし、“怒鳴るのも虐待”という言葉を聞いてゾッとしました。私自身の子育て孫育ての中で結構きつい言葉を浴びせてしまった経験がいくらもあるからです。そのあと必ず「怒ってごめんね、あなたが大好き」を言葉と態度で表してきたから大丈夫、私の気持ちは通じていると自負してきました。同時に怒鳴る行為の無意味さも学んできました。“ 怒鳴る”ことは、実は“心理的虐待”行為だと考えられています。怒鳴られた子どもは、萎縮し、恐怖し、自分の気持ちや行動が乱暴に拒絶されたことに対し、傷つくことが多く、「自己肯定感が損なわれる」といわれます。“怒鳴る人”を含めた周囲の顔色が物事の判断基準になってしまって、自分で考えたり、自分で自分を大切にしたりすることができなくなってしまうようです。親は余裕をなくしたり、腹が立ったり、耐えきれなくなったりする時もあるでしょう。でも怒鳴る、叩く行為がなんの解決にもならないことを知っておかなければなりません。大泣きしたり、一時的に収まったりすることもありますが、情緒面で不安定になり良い成長にはつながらないことが多いのです。
逆に“イイコ症候群”というのもあるようです。親の期待に応えようとして子どもらしい感情を抑えたり、イイコのふるまいをしたりする心理学の専門用語です。“イイコ症候群”の症状は、親に褒められたいという気持ちから自分の感情を抑制してしまい、自分の気持ちが表現できなくなるようで、これも個の人格形成において難しい問題が起きることが多々あります。わがままを言ったり、騒いだりするのも成長の通過点であり、その場その場できちんと教えてあげればよいのです。教えても怒ってもまた繰り返すのがこの時期の子どもたちです。子育てに苦労したり、悩んだりして人間として親として成長していくのだと信じています。私も我が子と孫、そして幼稚園のたくさんの子どもたちに出会って、失敗を繰り返しながら少しずつ成長しています。心から子どもは神さまからのたまものだということを実感しています。
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」
<思考力の芽生え>
身近な事象に積極的に関わる中で、物の性質や仕組みなどを感じ取ったり、気づいたりし、考えたり、予想したり、工夫したりするなど、多様な関わりを楽しむようになる。また、友達の様々な考えに触れる中で、自分と異なる考えがあることに気づき、自ら判断したり、考え直したりするなど、新しい考えを生み出す喜びを味わいながら、自分の考えをよりよいものにする。(教育要領原本)
何か思考力のために新しい指導をしなければと思うかもしれませんが、たとえば、砂場で遊んでいる時に友達の山と自分の山とでどちらが高いかと比べたり、どうやって川の水を流そうか、それまでの体験を手繰り寄せて自分なりに考えたりすることがあります。こうした体験を通して比べたり、関連付けたりする幼児の学びの過程を大事にすることです。 「園庭のバケツに氷が張った」「春から秋にかけての葉の色が変わる」「花から実になる」など、遊びを通して、あるいは季節の変化の中で「どうしてこうなるんだろう?」という気持ちは、興味のあることを自ら探っていくための土台になります。小学校以降の学びにおいて、大切なことです。幼児期には、友達との関わりの中で考えたり、さらに工夫したりする経験を積み重ね、もっとこうするとよいとか、こういうふうにすればよかったなどいろいろなことを振り返って見通しをもって考え、さらに思考力が深まっていくのです。
モンテッソーリのお仕事の中でも「どうして?」「こうやってみよう」「なるほど」などの気づきをたくさん体験します。
「クラス活動」
<ユリ組>
モノづくりの得意なクラスです。今年は、「音」をテーマに1枚の紙からいろいろな音が作れることを知りました。また、廃材を集めてマラカスやギロなどの楽器を作って楽しんでいます。年長のお別れ会ではパプリカの手作り衣装を着て、自分たちが作った楽器を演奏しながらパプリカの歌を披露するそうです。どんなお別れ会になるのか楽しみですね。
<チューリップ組>
今年もたくさんの楽しい活動を計画し、子どもたちの「発見」や「どうして?」の気持ちに応えてきました。教室の中も外も植物がいっぱい。観察やもの作りに発展しています。小学校3年2組との交流では授業に参加したり、多摩川探検に連れて行ってもらったりと、幼小連携の活動が活発で、チューリップの子どもたちはすっかり3年2組のメンバーになっています。大きいお兄さん、お姉さんと仲よく楽しく過ごす様子に驚いています。
1年間クラスの活動を紹介してきましたが、どのクラスも先生の得意な分野と目の前の子どもたちの意欲や興味、好奇心を大切にしながらクラス活動を進めていました。モンテッソーリ活動や学年活動にも反映し、深めたり工夫したりする力が培われています。
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