園便り 2019年12月

園便り

今月の園便り 2019年12月

 学園のイチョウの樹が日を浴びて金色に輝いて見えます。若草色の5月、緑濃い8月、優しい黄色の11月へと飽きることのない季節ごとの移り変わりを楽しめるのもこの学園の良いところです。登園する子どもたちが様々な形と色の違う葉を拾い集め、小学生が銀杏を拾う姿はこの時期の風景となりました。
 11月13日、公開保育研究会が行われました。今年は年中さんにスポットを当て「子どもたちとつくる保育」~見たい、知りたい、やってみたいに応えて~のここ3年の研究テーマで、子どもたちのチャレンジ活動と朝のモンテッソーリ活動の様子を公開しました。朝のモンテッソーリ活動の様子はこれほど集中してできるのかと驚くほどの取り組みを見せ、一人ひとりの子どもたちの成長を感じると同時に、今の時間をこのまま継続してあげたいと思うほどでした。しかしながら、当日は年中さんの学年活動も公開の対象となっていましたので中断し、「チャレンジ活動」に入りました。園庭や園内の遊具を活用し、走る、跳ぶ、投げる、つく、ぶら下がるなどの動きを友達と一緒に楽しみながらより高度な技能へのチャレンジに向かい、全身のバランスを洗練させていくことがねらいです。体操の時間に石田先生から学んだことを基本に進めています。他校種の教員や大学の先生方の参観を受け、午後から振り返りを行いました。モンテッソーリ教育を通して落ち着いて取り組む自己達成型の学びは育ちつつある現状ですが、お友達と協力して向上していくといった学び合うことはなかなか難しく、教え合ったり、一緒に工夫したりする共同的学びの必要性を指摘されました。言葉で気持ちを伝えたり、相手の意見を聞いたりする学びができる活動はとても大切な力になります。幼児は大人が用意した環境の中(語りかけや、読み聞かせ、ゆっくり聞いてあげるなど)で言葉を学んでいくのですが、同時に通じ合う喜びが言葉を育てます。たくさんの友達との関わりの中でおしゃべりをしたり、気持ちを伝え合ったりする場面をたくさん作っていきたいと思います。公開研修を重ねるたびに幼児教育の奥深さを感じ、一人ひとり違う子どもの成長を支えるために保育者は注意深く、そして惜しみなく力を注いでいかなければなりません。


               


 幼稚園では12月の7日にクリスマス会を行いますので、カリタス幼稚園ではすでにアドベント(クリスマスを迎えるための準備の4週間)が始まっています。「どんな心の準備をしてイエス様をお迎えしようか」とクラスでは今日の振り返りをしてみんなが喜ぶことが出来たときに1本ずつ花を飾り「心の花束」を作っています。「いつも弱い人、片隅に追いやられている人、貧しい人のそばにいて、共に泣いたイエス様は神さまの限りない愛を伝えるためにお生まれになった。」というイエス様のご誕生を心からお待ちしています。


 


               


 11月25日の教皇ミサに参加し、会場に集まった全員が教皇様の姿に心を打たれ、また、「すべてのいのちを守るために」という来日のテーマを様々な思いで捉える機会となりました。被爆地から核兵器のない世界に向けた行動を呼びかけるなど、力強いメッセージを発信し、日本滞在はとても短かいものでしたが、我々のみならず宗教やそれぞれの立場を超えて多くの人に大きな影響を与えた訪日であったと思います。

教皇様のメッセージをいくつかご紹介します。
「日本は効率性と秩序によって特徴づけられています。それだけにとどまらず、より一層人間らしく思いやりのある慈しみに満ちた社会を作り出したいという熱い思いを感じました。どんなに複雑な状況であっても自らの行動が公正、人間的であること。正直で責任を持つことを心掛け弱者を擁護する人になってください」

「今日の世界では、何百万という子どもや家族が、人間以下の生活を強いられています。しかし、いっそう破壊的になる武器の製造、維持、販売を通して、浪費されている大金と生み出されている富は、神に歯向かうテロ行為です。」

「世界はあなたを必要としています。そのことを決して忘れないでください!主はあなたを必要としているのです。ですから、助け起こしてくれる誰かの手を求めている周りの人すべてを、あなたは勇気づけることができるのです。」

 私たちは子どもたちに何を残していかなければならないのか。私たちの生き方を通して証していかなければなりません。教皇様の訪日を機に改めて考えさせられた1週間でした。