園便り
今月の園便り 2019年9月
長い夏休みが終わり、可愛い子どもたちが帰ってきました。といっても一斉休業日以外はマーガレットの子どもたちの声が夏中響いており、担任の先生たちも交代でクラスに入り、モンテッソーリのお仕事や水遊びを一緒に楽しむ様子が見られました。子どもたちからくる葉書を、顔を思い浮かべながら見るのが休み中の楽しみの一つです。時には名前と顔が一致せず申し訳ない思いで確認することもありました。お便り有難うございました。
夏休み中教師たちは、普段なかなかできない行事の計画、研修参加とリフレッシュの機会となります。様々な研修に参加し、それぞれが得た学びを全員で分かち合うのが2学期始めの園内研修です。2学期も子どもたちにとって良い時間となるよう教職員一同頑張ってまいります。消防音楽隊の楽しい演奏が聴けた誕生会、みんなでスイカを食べた2日間の夏季保育は、お友達と一緒に過ごす新学期への期待に繋がってくれたことと思います。
7月の園だよりで、「小さい我慢ができるようになりましょう。」と夏休みの目標の一つに挙げました。私が参加した夏の研修会で「がまんする力の発達」のテーマで講演があり、発達心理学の面から“がまん”を自己制御能力という定義付けをしてのお話です。子どものときの自己制御の能力が、子どもの将来の社会的成功や健康を予測することが出来るという衝撃的な研究報告がなされ、世界中で自己制御能力についての研究が進められ注目を浴びています。“がまん”できる子、“がまん”できない子、どこが違うのでしょうか。大人の監視の基に我慢をさせるのと、自己制御能力とは全く違います。大人に注意されてその場だけ我慢できても、自らを律する自己制御能力とは言えません。自分で自分の行動を自己コントロールする力は人格の基礎となり、将来に大きく影響するようです。自己制御能力の高い子どもはまず家庭で基本的なところが育つともいわれ、安定した家庭、確かな愛情の中で自己肯定感、自尊心の育っている子どもは自己コントロールが上手にできる子が多いようです。お母さんがいつもイライラしていたり、子どもを管理しすぎたり、先に道筋をコントロールしてしまったら、自ら考える力も自信も育ちづらいのでしょう。
ありがちな具体的な場面を考えると、子どもが何かを作ったり、したりしていて、「うまくいかない!」と言ってきたとき、どうすることが子どものやる気と解決する自信を育てられるのでしょう。自分で解決する経験を積ませなければと、放任するのが良いのでしょうか。「自分で始めたことだから最後までやりなさい」と叱るのでしょうか。子どもはできない悔しさと受け止めてもらえないつらさでやる気がなくなるかもしれません。だからと言って大人が完成させてしまったら、子どもは喜ぶかもしれませんが、難しいことを自分で解決する力はできず自己制御能力も育ちません。私たち周囲の大人は「何が難しい?」「どこをお手伝いしたらよいかな?」と子どもの気持ちを受け止め、手を出しすぎたり、やってしまったりしないようにしながら、子どもに自分で頑張って難しいこともやり遂げる達成感を積ませてあげたいものです。ここではやはり大人側の自己制御能力が必要です。見守る姿勢、待つ姿勢がとても大事になるわけで、安定した精神状態の中で、まず子どもの気持ちに共感し、「ママ一人でするのを手伝ってね!」(モンテッソーリの幼児教育 相良 敦子著)という子どもの心の声をしっかりと受け止めたいものです
「幼児期の終わりまでに育ってほしい10の姿」
数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚
遊びや生活の中で、数量や図形、標識や文字などに親しむ体験を重ねたり、標識や字の役割に気付いたりして、自らの必要感に基づきこれらを活用し、興味や関心、感覚を持つようになる。 (教育要領 原文)
子どもたちの身近な周りには、図形や文字で表されているものがたくさんあります。例えばクラスの中には自分や友達の名前がいろいろなところに書かれており、絵本には文字、順番や人数、日付などの数字も示されています。3~4歳くらいになると数や形に気付き、それらを使うようになります。子どもたちは生活の中で、自然に覚えていたり、数えたりして驚かされることがあります。何度も接しているうちに、数や文字、記号の表す意味を知り、覚えたり分かったりして、使う楽しさを体験していきます。そのために先ず生活の中でたくさん触れ合えるよう一緒に数を数えたり、絵や文字を指しながら絵本を読んだりしますが、モンテッソーリ教育のお仕事にはそれらを整理づけたり正しく使ったりする楽しい教具がたくさん準備されています。幼稚園では子どもたちが、遊びや生活の中で数量や図形、文字などに出会い、その必要性が感じられる体験を重ねられるよう配慮しています。
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