園便り 2021年3月

園便り

今月の園便り 2021年3月

      「あなたはわたしの愛する子、私の心の適う者」(マルコ1章11節)

 

 2020年度の締めくくりの月、年長児にとっては幼稚園最後の月を迎えました。見えない不安の中、距離を置く生活をせざるを得なかったからこそ「家族の大切さ」「いのちのつながりの重さ」など多くのことに気づかされた1年間でした。保護者の皆様からの温かい励ましやご理解、ご協力があったからこそ、こうして3月を迎えることができました。心より感謝申し上げます。

 

◇縦割りクラスの豊かさ

 各クラスだよりでもお伝えしているように、3学期、未就園児クラスの子どもたちとの交流の時を持ちました。2歳児さんがお仕事をするのを見守り、またゆっくり声がけしながらお手本を見せてあげる在園児の姿に成長を感じると共に、縦割りクラスがもたらす豊かさについて改めて思いました。子どもたちは、これまで受けた手助けや関わりが深い体験となり、先生とは違う存在の「お兄さん、お姉さん」の役割を自覚していきます。新入園児は「小さな先輩」に支えられていくのです。少し前になります。年中の男の子が泣きながら登園してきました。お母様から事情を伺うと、ずっとお世話をしてくれた年長の女の子が4月から小学校にいくことを知り、それが悲しくて自分も幼稚園をやめて、その子が通う小学校に行く!と言って泣いたのだそうです。その年長さんがなくてはならない存在になっていたのですね。

 

◇集中する子どもたち

 「子どもは言葉の世界では気が散りやすくても、手を動かすと簡単に集中できるのです。」これは、マリア・モンテッソーリの言葉です。オンライン参観で見ていただいたように、子どもたちは、静けさの中で集中して「手を動かすお仕事」に向かいます。5領域のそれぞれの教具、教材は、実際に手で触れ、感覚的に理解していけるようになっていますが、日常生活の練習の活動は、これらすべての土台であり、手指の繊細な動きとコントロールができることで、その後の活動がどんどん広がっていきます。先日、1人の年中児さんが、制服のとれたボタンを自分で縫い付けるというお仕事をしていました。日常生活の練習のお仕事とは、大人が日常生活でしていることの、ある部分を切り取って繰り返しすることなのだと納得するエピソードでした。

 

◇新園舎の工事を子どもたちとも共有

 19日の説明会等でお伝えしました通り、すでに準備工事が始まっていますが、先日子どもたちに工事のことを伝え、音楽室とのお別れ会をしました。これまで、学年ごとに楽器と触れ合ったり、神さまのお話を聞いてきた音楽室に「ありがとう」の気持ちを込めて、床や壁に文字や絵を書き、折り紙で作った作品を飾りました。一人ひとりが、どんなメッセージを残そうかと考え、表現していました。ある子は、楽器を絵で描くことを選び、好きな楽器「トライアングル」を丁寧に描いていました。自分が体験したことを思い起こし、言葉や他の表現で表すことができることに子どもたちの成長を感じます。音楽室は子どもたちの「ありがとう」が詰まった空間になっていました。


            

 

 


◇神さまのお風呂

 3学期は各クラスという単位で「神さまのお話」の時間を共に過ごしてきました。その月のテーマに沿った内容を心がけましたが、子どもたちに伝えたかったのは、「神さまはいつも一緒にいてくださる」という温かさと安心感です。音楽室でお話する時、「ここは神さまのお風呂です。心も体も温かくなってゆっくりしましょう。」と語りかけて始まります。失敗もするし、自分勝手な気持ちにもなる弱い私たちを、イエス様はよくわかっていて「愛する子」と呼んでくださっている、そのことが伝わったら本当に嬉しいです。

 

 

「ねえシスター、シスターってお姉さんのことなの、それとも妹のことなの?」(子どもの質問より)

 


                                        


 

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