園便り
今月の園便り 2023年11月
きく力・言語化する力
新型コロナ感染症が5類に移行し、教育活動をはじめ、大勢人が集う行事なども再開され、コロナ以前の生活を取り戻しつつあります。「感染症」を防ぐために、密を避け人と距離を取ること、黙食などで気をつける体験を重ねてきた子どもたちは今、「他者と関わる体験」を積み重ねています。どうしたら友達と楽しく遊べるのか、どうしたら自分が感じていること、考えていることが伝わるのか、みんなが集まる時、どうすると気持ちよく過ごせるのかなど一つひとつ体と心でコミュニケーションを学んでいます。関わるためには、相手が言いたいことをきくこと、そして自分が思っていること、感じていることを伝えることが欠かせません。それには、安心して話せる場、言語化できるまで待ち、言ったことをそのまま受け止めてくれる人、「大丈夫?」と気にかけてくれる人が必要です。幼稚園、そして家庭で子どもたちのきく力、考えたこと、感じたことを言語化する力を引き出していけたら、子どもたちのコミュニケーション力が培われ、違う考え方の人とも戸惑いなく出会っていけるのだと思います。
今年度幼稚園では、子どもたちがより主体的に生活できるよう「対話」に力を入れた保育を展開しています。特に年長児を対象に中学・高等学校カトリック倫理科の小笠原真里先生にご指導いただき、子どもたちとの時間を持っています。小笠原先生が、「こども哲学」について寄稿してくださいましたのでお読みください。「はてな屋さん」として、子どもたちと共に過ごしてくださっている素敵な先生です。
年長さんと「こども哲学」をする機会をいただきました、中高カトリック倫理科の小笠原真里です。「園児に哲学!?」と思われたかもしれませんが、実は最近、子ども達と行う「哲学」が盛んです。「哲学対話」「こども哲学」「Philosophy for Children (P4C)」など、呼び方は色々ありますが、どれも、子どもたちが対話を通してものごとを深く考える活動です。
我々大人が哲学と聞くと、なんだか難しい思想をこねくり回して、浮世離れした議論を戦わせる偉大な哲学者を思い浮かべるかもしれません(笑)。 こども哲学は、それとは少し違い、参加者とファシリテーターが輪になり、「正解のない問い」を、じっくり時間をかけて、対話しながら掘り下げていく営みです。小学生の哲学対話の動画や、フランスの幼稚園でのドキュメンタリー映画をご覧になると、実際の「こども哲学」がイメージできるかも知れません。
← 小学生のこども哲学 ← 映画『ちいさな哲学者たち』の予告編
たとえば、「ともだちって何?」「なんで子猫はかわいいの?」「どうしてケーキを食べると幸せな気持ちになるの?」 …どうですか?大人の皆さんは、すぐに「正解」がわかるでしょうか。
普段は中高生を担当している私。どうしたら、年長さんでも「てつがく」を実践できるだろう…? 余分なものをすべてを削ぎ落としてシンプルにした時、本当に「哲学的な態度」とは何だろう…? 出した答えは、①「問い」を持つこと ②思考を言葉にすること でした。結果、私が園児達と関わる時に大事にしたことは、以下です。
・私は「先生ではない」こと。つまり、正解を知っていて、教えに来た存在ではない、ということ。
・「問い」をもつことは、楽しいしすばらしい。たとえそれが、お友達や家族には共感してもらえなくて
も。よさそうな答えがすぐにみつけられなくても。
・一秒でも長く、「言葉にしてみよう」と思えること。
私は、幼稚園では「はてな屋さん」を名乗ることにしました。はてな屋さんは、みんなの「?」を聞き出し、話し合うのが大好きです、と。 トレードマークの黄色のエプロンに、青い「?」のロゴをつけ、園児には、「はてな屋さんが来たときは、どんな問いを言ってもいいし、なんで?を連発してもいい」と思ってもらえる様にしよう!…と思いました。
幸い、「はてな屋さん」という職業(?)は園児たちに受け入れられて、楽しんでもらえたように思います。みんなとても真剣に、張り切って手をあげて発言してくれました。
せっかくですので、ご家庭でも、ぜひ「哲学的な姿勢」を肯定してあげてください。世間はコスパとタイパの時代。一秒でも早く効率的に正解に辿り着かなくちゃ!…と大人も子どもも急かされてしまいます。ですからどうぞ、お子さんがささやかな「問い」を持ち、しかもそれを言葉にしてくれるチャンスが来たら、すぐにググって正解を教えようとせず、「問いを持てるのはすごい!」「○○ちゃんはなんでだと思う?」「~と比べてみたら?」「たとえば何があるかな?」と、哲学的な問答を、ゆっくりゆっくり楽しんでください。正解を知ることよりも、素敵な経験が、そこにはあるかもしれませんよ!
🌼11月宗教・七五三のねらい🌼
・大切な存在である私に気づく
・自分の成長に気づき、神さま・両親への感謝(神さまありがとう)の心を持つ
11月10日(金)は、学園チャプレン保久要神父様の司式による七五三の祈りの集いを行います。自分自身と周りの人々が、神さまからの贈り物であることに気づき、多くの人に支えられていることを感じられる祈りの時を持ちたいと思います。
🌼11月の聖歌を紹介します。保護者の皆様もご家庭でもお子さんと一緒に口ずさんでみてください
「わたしをお使い下さい~マザー・テレサの祈り」
1、主よ 今日一日 貧しい人や病んでいる人々を助けるために
私の手をお望みでしたら 今日私のこの手をお使いください
2、主よ 今日一日 友を求める小さな人々を訪れるために
私の足をお望みでしたら 今日私のこの足をお使いください
🌼保護者のためのモンテッソーリ勉強会日時変更のお知らせ🌼
1月19日(金)に予定しておりました「保護者のためのモンテッソーリ勉強会」は、三浦先生のご都合により2月16日(金)に変更となりました。東京国際モンテッソーリ教師トレーニングセンター代表三浦勢津子先生による勉強会は、毎回理論と実際の提供の学びと共に、三浦先生の豊かな経験をお聞きできる機会です。ぜひご参加ください。
🌼赤ちゃんもママもほっこりポカポカ「わらべうたとからだあそびの会」🌼
今年度から行っている「ベビーマッサージ」の講師高野さちさんによる「わらべうたとからだあそびの会」(生後2か月~1歳半くらいまでの赤ちゃんと保護者の方が対象)を12月4日(月)みんなのホールにて行います。詳細はHPでご確認ください。親子でゆったりとスキンシップをとりながら、心地よい時間を過ごす良い機会です。周りの方、ご友人にもどうぞお知らせください。
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