園便り 2023年9月

園便り

今月の園便り 2023年9月

           「だいじょうぶ?」から始まる温かいかかわり

 わたしの兄弟であるこの最も小さいものの一人にしたのは、わたしにしてくれたことなのである。

                                  (マタイ25章40節)

 今年の夏は、これまでになかった猛暑となっていますが、皆様はどのような夏休みを過ごされたでしょうか。九州地方をはじめ広い範囲で台風による被害が続出した夏でもあります。専門家が「沸騰期」の時代というくらいこれまで経験したいことのない気候に突入している今、自然は、わたしたちに多くのことを語りかけ教えています。すべてのいのちと共存していくため、知恵を尽くすことが必要です。

   おお、主よ、すべてのいのちを守るため、よりよい未来をひらくため、
       あなたの力と光で わたしたちをとらえてください。(教皇フランシスコの言葉)

 

 いよいよ2学期が始まります。子どもたちが自分で納得して選び、やり遂げてきた経験の積み重ねが、2学期の生活に活かされます。幼児期~子ども時代は、大人より友達とのかかわりに触発されると言われます。運動会やクリスマス会など「ともにつくりあげる喜び」の体験が待っている2学期、教員に見守られながら、多くの体験を重ね、心も身体も成長していく子どもたちを一緒に応援していきましょう。

 

「だいじょうぶ?」の声

 サレジオ会司祭で神学者の阿部仲麻呂神父様の新刊『キリストとともに』から紹介します。子どもたちをはじめ、わたしたちにとって、声をかけ、励ましてくれる存在の大切さについて気づかされます。

 『三歳くらいの幼稚園の男の子がおりました。~幼稚園に通うということは、男の子にとっては怖いことでした。安心感のある家庭から離れて、幼稚園という、まったく知らない環境に放り出されたからです。友だちのいない状態での生活が始まったのです。~この男の子は毎日、幼稚園に通いながらも園児たちの中で、うまく溶け込めないまま過ごしています。この男の子は、いつのまにか砂場に行って独りで遊ぶようになりました。誰からも声をかけてもらえず、助けてもらえません。言ってみれば、灰色の日々が続くだけです。~彼は砂場で、独りで遊んでいます。その時うしろのほうから女の子がやってきて「だいじょうぶ?」とひと言かけました。この「だいじょうぶ?」というひと言が、三歳の男の子にとっては非常に大きな助けになりました。それまでは、誰も遊び相手がいない状態でした。独りぼっちでした。しかし、ある日突然に「だいじょうぶ?」と心配して声をかけてくれる友だちができました。「だいじょうぶ?」というひと言、そこからすべてが始まります。灰色の毎日が、いきなり薔薇色になります。「だいじょうぶ?」というひと言が、彼の人生を明るく変えてくれました。「はじめに、ことばがあった」(ヨハネ福音書1章1節)はじめに、励ましの「だいじょうぶ?」というひと言があります。自分を見つけて支えようとしてくれる相手が現れる。暗い、独りぼっちの状況が、誰かの登場によって明るく変わってゆく。開かれていく。そのような経験こそが、もっとも重要なのです。わたしたち一人ひとりは、みんな、それを望んでいます。』

 冒頭のみ言葉にあるように、「最も小さな者~孤独、苦しさの中にある人」と関係性をつくる中で、神さまがより身近になっていく「カリタス」であり続けたいです。

 


🌻8月、9月、10月の宗教のねらい🌻

テーマ:私たちにすてきな友達をくださった神さまありがとう

・自分にしてもらいたいと思うことを人にもしてあげましょう。

・イエス様のお母様マリア様に親しみを持ち、祈ります。

・創立記念日を通して、聖マルグリット・デュービルの心に触れます。

「だいじょうぶ?」と言葉をかけるのには勇気がいります。聖マルグリットは、苦しむ人々の傍らで、心を寄せ、声をかけながら共に歩みました。その精神が、わたしたち、そして子どもたちの中に沁みとおっていきますように。


                


 

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