園便り
今月の園便り 2021年12月
私には、忘れられないクリスマスの思い出があります。今から30年近く前、私はひと月半ほど、頸椎の具合が悪く入院したことがありました。11月で幼稚園ではクリスマス会の準備真っただ中の時期にリハビリが主な入院治療を体験しました。
クリスマスイヴは、ミサに参加する外出許可が下り教会に向かいました。灯りを消した暗い聖堂で皆がろうそくを持って待つ中、聖歌に合わせて、神父様が幼子イエスを抱いて入堂し、馬小屋の飼い葉おけに寝かせる「馬屋式」からミサが始まりました。一人、また一人と持っているろうそくに点火し、聖堂全体がだんだん明るくなっていきます。私たちのもとに主イエスが光として来られたことが感じられ、身体の不調で不安を抱えていた心に温かな思いが広がったことを覚えています。
その後、ミサを終えて病院に帰り、遅い病院食をとろうとしたところ、手違いで私の夕食はもうありませんでした。クリスマスイヴに夕食がないと寂しく思っていると、同じ病室の方が、「私は、カステラがあるわよ。」「ここにヤクルトがあるからどうぞ。」「おまんじゅうはいかが。」と持ってきてくださいます。私と同じ名前のお孫さんを持ち、よく話されていた別の病室の方も、食べ物を持って病室に来てくださるなど、私の床頭台は、たくさんの食べ物で一杯になったのです。乾杯用のシャンメリーを届けて下さった方もいらして、皆で「クリスマスおめでとう。」と紙コップで乾杯し、クリスマスのお祝いが始まりました。
クリスマスが「分かち合い」であること、「喜び」であることを本当に知った瞬間でした。クリスマスはイエス様のご誕生をお祝いする日として祝われます。子どもたちも、その心でクリスマス会の練習を重ねつつ、優しい心を整えています。誰の心にもある「分かち合う心」は、神さまが、イエスさまを分かち合ってくださった愛と結びついているように思います。
クリスマス、一人でも多くの方が、「愛されている」ことを実感できる日となることを願い祈ります。新型コロナ禍、自由登園の中でクリスマス会の練習を重ねてきた子どもたちの精いっぱい演じる心を受け取り、大きな拍手をお送りください。
「神はその独り子をお与えになったほどに世を愛された」(ヨハネ福音3:16)
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