「極め出汁 〜オリジナル出汁を作ろう〜」
「“極める”っていうのは、ただ繰り返していくことじゃなくて、繰り返していく中で、その深みまで行き着くことだと思う。私達は、まだ全然極められていないし、オリジナル出汁も作れてないんじゃないかな。」
3学期に入り、クラスではいよいよ、最終目標であった学習発表会での「出汁カフェ」と、そこで振る舞う「オリジナル出汁」について、話し合いの時間を持ちました。しかしそこで、議論が分かれたのです。今まで取り組んできたかつおと昆布の合わせ出汁を提供していくのか、もしくは、新たな材料を加えた、よりオリジナル性の高い出汁にチャレンジしていくのか。残された時間のことを考えたり今までの積み重ねを考えたりすれば、前者のアイディアが妥当です。けれども、冒頭に挙げたこの意見には、大いにうなずける所があり、ここまでやって来た出汁を本当に、自信を持って提供していいものか…皆の心は大きく揺らぎました。学習発表会を間近に控えたこの時期に、まさかの緊急事態発生!と言っても過言ではない雰囲気が漂う教室…すると、別の子が手を挙げて発言しました。
「“極める”っていうことに終点はなくて、プロの職人さんだって今も“極めている”最中で…だから私達も“極めた”にはなっていなくても、今も“極めている”っていうことでいい。それが大事なんだと思う。」
さすが6年生。クラスの議論を進め、事態を前へと進めていくのも、教師ではなく子どもたち自身でした。自分たちが一生懸命やって来たことへの価値付け、言葉の解釈、目標の見直しや再確認は、大人の社会でも必要不可欠なもの。それを子ども同士の話し合いの中で進めていけることに、6年間の総合での大きな学びが感じられました。
学習発表会の出汁カフェでは、年齢問わず大勢のお客様に手作りの出汁を味わっていただくことができました。ふと口からもれる「おいしい」という言葉や笑顔は、1年間頑張った子どもへの何よりのご褒美になっていたようです。