5年3組からのトピック


「ビオトープ(仮)」

選りすぐりの総合 「ビオトープ(仮)」が決まるまで〜想いを受けとめ合うということ〜
 総合的な学習の時間で話し合い活動を行ってきました。それぞれが考えてきた提案を持ち寄り、どれをみんなで取り組むかを決めたいという子どもたちの希望でした。
 しかし、話し合いが進む中で、自分の案を通したい気持ちが強くなり、相手の意見に対して否定的な言葉が飛び交うようになりました。クラスの空気が少しずつ重たくなっていったのを、私だけでなく、子どもたち自身も感じ取っていたようです。
 そんなとき、ある子が静かに言いました。「お互いを蹴落とすような質問は、どうかと思う。」その一言がきっかけとなり、自分の経験を語った子がいました。「自分の案にならないのは仕方がないと思っている。でも、かつて一生懸命考えたことを、否定され続けて何も伝わらないまま終わってしまったことが、今も心に残っている。」
 一人ひとりの発言には、それぞれの思いや過去の経験がありました。私は子どもたちに、こう問いかけました。「ここに出された提案は、どれも一人ひとりが一生懸命に考えてきたもの。批判するより、想像力を働かせ、その提案の良い面を探しながら話を聴いていくことで、5年3組が考え抜いた『選りすぐりの総合』だったら、やる気につながりませんか。」
 すると、子どもたちの中からも自然と声が上がりました。
「多数決をするとき、ダメなものに手を挙げるんじゃなくて、いいと思ったものに手を挙げたら、一番良いものが分かる。」
残念ながら、選ばれなかった案の提案者の中には、涙をこぼす子もいました。でもそのとき、教室には「よくがんばったね」「いい発表だったよ」と、あたたかな拍手が響いていました。こうして、話し合いを重ね、5年3組の総合は「ビオトープ(仮称)」になりました。
 一人ひとりの想いを大切にしようとする姿。結果だけでなく、そこに至るまでの過程や気持ちを受けとめながら、公正な視点で自分たちの総合について話し合う姿。子どもたちは、話し合いを通してまた一つ、大切なことを学んでいると感じました。
 これからも「自分の考えを伝えること」「相手の想いを受けとめること」の両方を大事にしながら、話し合いを深めていきたいと思います。
 児童の振り返り ・・・・自分の意見。先生の言った「選りすぐりの総合」という言葉が私の心に残りました。確かに、みんな一人ひとりの意見があって、一人ひとりやりたい事があります。でも、これから選りすぐりのテーマを決めていく総合は、とても良い総合になると思います。なぜなら、こんなに悩んで決めて、でも、悲しくて、やっとやりたい事が見つかるからです。まだ、決めていくことはあるけれど、沢山悩んで、みんなが納得する総合にしていきたいです。今日、外に出て気分転換して、少し未来が見えてきました。泣いちゃった子もいるけれど、だからこそ、同じ環境で話せば意味があるんだなと思いました。