6年3組からのトピック


「寄木細工」

 2学期末に、1cm×1cmの角材を自分たちの力で切り出すことはやはり無理だとわかり、プロに頼むか、切ってあるキットを購入するかのどちらかにしようということになり、学園内の職員で、元大工さんである方に相談したら快諾を得たので、冬休み中に木材(ウオールナット、シナノキ、ホオノキ、セドロ、カツラ)を新木場で購入しておきました。3学期はそれを切ってもらう所からスタートし、整然と切られた木材をさらに自分たちで短く切ったり、長いまま接着を始めたりと、グループごとに「無垢作り」の小さな作品作りを進めました。

 市松模様を中心に、四色の木材を自分の好きなように組み合わせて模様を作り、接着して種木にし、その種木をさらに電ノコや手ノコ、彫刻刀などで思い思いの形に加工していきました。全員が完成するところまでは残念ながら到達できませんでしたが、箸置きやお皿など、少しずつできてきた作品は、なかなか味のある6年3組ならではの寄木細工になりました。一つひとつの作業の丁寧さが必要なこと、それが最後に美しい仕上がりにつながること、そして、伝統工芸の職人技のすばらしさを実感する総合でした。

6年2組からのトピック


「極め出汁 〜オリジナル出汁を作ろう〜」

 「“極める”っていうのは、ただ繰り返していくことじゃなくて、繰り返していく中で、その深みまで行き着くことだと思う。私達は、まだ全然極められていないし、オリジナル出汁も作れてないんじゃないかな。」

 3学期に入り、クラスではいよいよ、最終目標であった学習発表会での「出汁カフェ」と、そこで振る舞う「オリジナル出汁」について、話し合いの時間を持ちました。しかしそこで、議論が分かれたのです。今まで取り組んできたかつおと昆布の合わせ出汁を提供していくのか、もしくは、新たな材料を加えた、よりオリジナル性の高い出汁にチャレンジしていくのか。残された時間のことを考えたり今までの積み重ねを考えたりすれば、前者のアイディアが妥当です。けれども、冒頭に挙げたこの意見には、大いにうなずける所があり、ここまでやって来た出汁を本当に、自信を持って提供していいものか…皆の心は大きく揺らぎました。学習発表会を間近に控えたこの時期に、まさかの緊急事態発生!と言っても過言ではない雰囲気が漂う教室…すると、別の子が手を挙げて発言しました。

 「“極める”っていうことに終点はなくて、プロの職人さんだって今も“極めている”最中で…だから私達も“極めた”にはなっていなくても、今も“極めている”っていうことでいい。それが大事なんだと思う。」

 さすが6年生。クラスの議論を進め、事態を前へと進めていくのも、教師ではなく子どもたち自身でした。自分たちが一生懸命やって来たことへの価値付け、言葉の解釈、目標の見直しや再確認は、大人の社会でも必要不可欠なもの。それを子ども同士の話し合いの中で進めていけることに、6年間の総合での大きな学びが感じられました。

 学習発表会の出汁カフェでは、年齢問わず大勢のお客様に手作りの出汁を味わっていただくことができました。ふと口からもれる「おいしい」という言葉や笑顔は、1年間頑張った子どもへの何よりのご褒美になっていたようです。

6年1組からのトピック


「あずま屋 〜みんなが憩える場所〜」

 冬休みの間にYさんが近所からたくさんの廃材をもらってきてくれました。東屋作りに大いに役立ちそうです。そこで学校にある使えそうな廃材を全て校庭に並べて、用途にあったものを選んでいきました。柱にはもちろん11月に切った松を利用します。

 設計図班の人たちは、用務の森田さんに自分たちの設計図で大丈夫そうかを聞いたところ、斜めに細い木をつける必要があることと、屋根の傾斜を10度にすることの2つをアドバイスされました。

 1月19日、いよいよ柱を立てて製作開始です。久しぶりの電動ドリルがウィンウィンと音をたてています。椅子班は、座面の板の厚みを考慮して脚を38cmに切ることにしました。しかし。もともと柱にもなっていた木です。固いのなんのって!2〜3人ずつがグループになって交代で力いっぱいのこぎりを引きました。

 柱が立つと、柱班の作業は終わりです。そこで「すのこ」を作ることにしました。でも下の細木の間隔が広すぎて、人が乗ると板がたわんでしまいます。すると、模型づくりで柱が安定せずに筋交いの必要性を痛感したSくんが「斜めに入れるといいのでは」と提案しました。失敗は発明の母、失敗がここでも役に立ちました。

 柱は立ったものの、屋根を乗せるには更に梁の上に短い柱を立てていかなければなりません。どうにかこうにか傾斜10度になるように等間隔に短い柱木を立て、横にビス留め用の細長い木を固定してようやくポリカ製の波板を固定できるようになりました。この波板は、Kくんが屋根の形を調べていたときに見つけたものです。透明で日光がそのまま入るので、中で本が読めそうです。この波板を固定するには、梁の上に上らなければなりません。MさんとYさんが率先して取り付けました。

 椅子の上に座布団があるといいな、の声を受けてHさんとMさんがミシンで細長い座布団を縫ってくれました。

 そして2月22日、学習発表会の前日、冷たいみぞれが降る中にようやく作業が終了しました。でもここへ来るまで、柱を支えたり、ビスを渡したり、切る板を固定したりと陰で作業を支える人の存在も忘れてはいけません。目立たないけれど、彼ら彼女らも立派に東屋作りに参加をしていたのです。子どもたちは自分の役割を一生懸命に務めている間、友だちの誰かが他の作業を進めてくれていたことに、びっくりするとともに、皆で協力してつくり上げたのだ、という達成感に満たされたようでした。みんなで力を合わせて作った、在校生が憩える東屋は来年の3月まで図書室の裏に立っています。