「作ろう!楽しもう!きょだいめいろ」
6つのアイデアをもとに、早速、製作スタート。ハンガーを使ったり、机を使ったり、どうにかして巨大迷路につながる糸口を探すことに。活動を続けていくと、「もうちょっとでできそう」「あとちょっと」という声が多く聞かれるようになってきました。しかし、よく見るとできているのはほんの一部分。このまま本当に完成するのだろうか。そんな不安の声は子どもたちの日記にも綴られるようになってきました。活動する中で生まれるこうしたもどかしさとそれを打開しようとする子どもたちの総合への思いは本当に活力に溢れています。
このままでは終わらないのではないか、日記に綴られた言葉はあせりよりも「どうすればよいか」と前に向いて考える子どもたち。そこで、あらためて子どもたちが考えたきょだいめいろ作りの計画書を眺めてみると、「迷路の基本=設計図」だけを飛ばして活動しています。子どもたちにそれを見せると、「迷路の基本の設計図だけやっていない」と気付き、設計図をあらためて作ってみることになりました。設計図というものは、簡単そうで難しいです。しかし、活動を通して本当に困っている子どもたちにとっては光になるかもしれない大切な手段です。
設計図を書いて数日、今度は「今の設計図では教室には作れないよ」という声が出ました。そう、設計図はあくまで配られた紙に書いたもので、教室を想定したものではありません。この言葉から二人の子どもが設計図を書いてきました。「机を使った場合の設計図」「ブロックを使った設計図」線の上に何を置くかで設計図が変わることを自ら考えた設計図を使って説明してくれました。難しさもありますが、活動してきたクラスには「何となく」でも意味が伝わっています。そして、「それならできるかもしれない」という期待感もクラスに芽生えてきました。そこで、実際に教室に設計図を使って再現することにしました。
再現してみると、机を使った設計図は時間通りに作り上げることができました。しかし、机の幅があり教室の中に作ると、どうしても簡単な迷路になってしまうという欠点がわかりました。一方、ブロックで作る方は時間通りに完成しませんでした。迷路としての難しさは確保することができそうですが、ブロックの数が足りないという欠点が分かりました。
そして、もう一つ、「工作ブロックで想定していたけど、実際はダンボールブロックを使ったから幅が変わってしまい、教室の幅では足りない」ということも分かりました。そこで、クラスみんなで「新設計図」を作り上げることにしました。
ここで子どもたちがこだわったのは、2組の先生です。「2組の先生を基準に幅を決めたい」という強い思いを持っていました。この思いから2組の先生の通れる幅とダンボールの幅を足すことによって、「ダンボールを線に置いても通れる」幅を求めることができました。
ここからは、教室に実際の線を引き、新設計図を子どもたちが考え、あとは「ダンボールブロックの数」との戦いです。ダンボールを組み立てたり、大きすぎるダンボールを崩して自分たちが集めているダンボールに作り直したりあらゆる手立てを使って、材料集めを行いました。子どもたちはダンボールを組み立てる人、設計図通りにブロックを積み上げる人、ブロックの型を切り取る人などそれぞれが分担を請け負い、一生懸命に動いていました。最後の1週間はほぼ「材料作り」ですが、大変さの中にもみんなで一つのことに向かう「楽しさ」にも溢れているように感じました。
学習発表会でたくさんの型が来場され、その方々の笑顔が見れたことを子どもたちと分かち合い、「絆」を感じた一年でした。