6年3組からのトピック


「歴史劇~日本を今一度洗濯致し申し候~」
 2学期に何度も改良した脚本ですが、もっと分かりやすくしたいという思いを持った人たちを中心に、更に改良を重ねました。そして「脚本5」でやっとオリジナル脚本が完成しました。
 それと同時に、少しずつ演じる練習を始めました。まずは、配役を決めずにクラスを4つのグループに分けて、場面を演じてみました。色々な人がいくつもの役を経験でき、さらに演技が上手な人から学んだり、お客さんに背中をむけないなど基本的なことを学んだりできました。そして、配役を決め、いよいよ上演に向けての練習開始が始まりました。舞台に立ってみると…、声が小さい、舞台を広く使えない、人が重なってしまう、迫力を出せない…。課題が山積みでした。皆で声を掛け合って、何度も何度も改良しました。タブレットで動画を撮り、どこをどう直せばよいかも考えました。
 本番1週間前くらいに、やっと劇が形になってくると、「音響やります!」「照明やります!」と声が上がりました。自分たちでどんどん研究し、役と裏方の仕事の入れ替わりも考え、チームワークよく進めていきました。さすが6年生です。
 本番2日前、同じく劇の総合を頑張っている4年生と、お互いの劇を見せ合う時間をいただきました。そこで4年生の迫力ある演技に刺激され、6年3組の演技は更に真剣になり、分かりにくいと指摘を受けた場面は改良することができました。
 本番まで時間の限り練習しました。子どもたちの演技はどんどん生き生きとしていきました。そして、学習発表会本番。今までの中で一番の劇を観ていただくことができました。
 歴史を学ぶことから初めて、焦りながらも走り続けた1年間。劇作りを通して、クラスの絆が深まり、最高の劇を作れたことを皆で喜びました。

6年2組からのトピック


「インスタントラーメン」
「お湯に戻したときに麺に味がついているようにしたいよね」
「なら、油で揚げる前にたっぷり味付けをしないとね」
(油で慎重に揚げても…シュワー!)
「なんでこんなにはねるの!危ない!」
「んー…水と油が反応してるから?」
「じゃあ味は濃くつけて浸すけど、揚げる前には水分を拭き取ろっか」
「油の温度も下げる?」
「安藤百福は160度で揚げてたけど、私たちは安全も考えて120度とかでやってみる?」
「そういえばこの前、他の班がそれでうまくいってた!」
「それでいこう!」
(再度油で揚げると………)
「おー!はねない!」
「上手くいったー!」
「Aちゃーん!できたよ!」
「待って、でも中まで火が通ってないみたい」
「うそ。カップの形にしようとして麺を押しすぎたからかなぁ…」
「まんべんなく火が通ると、色もきれいになるから、次は色も」
「形もよくしよう!」
・・・

これは、6年2組インスタントラーメン作りの会話のごく一部です。
「お湯かけたら戻る即席ラーメン」を目指してきました。数え切れない失敗・改善・成功・失敗…を経験してきました。9月にチキンラーメンを作り、共通の体験をもっていたので、作り方のキホンは皆で理解し合っています。でも、実際に「私たちだけでやってみる」と、初めて出会う課題が出てきます。その解決法を考えては試し、悩み、考えては試し、悩み…の繰り返しでした。回を追うごとに、揚げ方はもちろんのこと、お皿洗いや机拭き等の片付けも同時並行。息が合うのです。作業の段取りも抜群に。校訓である「ともに祈り 学び 仕える人に」を、総合の時間で体現していきました。

2月16日、1年間の学びを伝える学習発表会では、文字を追って伝えたり、保存してきたラーメンの実物を比較しながら説明したり、「ピヨ軒」でラーメンの試食をふるまったり…カップヌードルミュージアムのように洗練された「白」で統一された教室内で、一人ひとりが各々の場所で大活躍でした。これまで真剣に頑張ってきたので、伝えたい気持ちを強くもっていたのだと思います。

卒業まで1か月。提案されたのは、「お世話になった先生たちとお父さんお母さんにプレゼントしたらどう?」という思い。「人に渡す」「感謝の気持ちを渡す」となれば、一層力がこもります。パッケージは、お手製。中にはメッセージカードを添えました。校長先生をはじめとした先生に渡しにいったとき、「喜んでくれたのが嬉しかった」と自分自身も喜びを感じられました。6年生での学年目標「大きな木になろう~あなたの幸せはわたしの幸せ~」を、この総合を通じて自分が味わうことのできた実りある締めくくりとなりました。

6年1組からのトピック


「黒板あーと」
 教室をギャラリーのようにしたい! そのためには…、クラスでいろいろ考えて、学習発表会ではその願いを実現させました。グループごとに「テーマ」を決めた大型作品(黒板も手作りです)がメインです。消してしまったこれまでの作品は写真で展示し、自分たちのあゆみが分かるようにしました。また、黒板アートの様々な技術を紹介するコーナーや、ミニ黒板作りの体験コーナーも開設しました。「黒板あーと」の楽しさ、奥深さが伝わった一日となりました。もちろん、自分たちの言葉で、自分たちの「あゆみ」を参観に来られた方々に語りました。これまでの学習発表会での経験を生かして、どんなふうに語るのかも、一人ひとりがよく考えていました。
 総合の終わり方は、思い思いに作品を描く子、卒業式や入学式で飾る看板を描く子など様々です。自分たちは卒業してしまうので4月にはいないけれども、入学してくる新1年生にカリタスの楽しさを伝えたいという願いをこめて描きました。人に喜んでもらえる総合、人のために自分の力を仕える総合となりました。でも、何より、黒板あーとが楽しかったことに満足の一年でした。

5年3組からのトピック


「切って びっくり  ふたご みつごの きんたろう」
 3学期は、学習発表会の計画からスタートしました。一番見て頂きたいのは…何といってもべこ餅づくりの腕前!そこで、1回分残っていたすいかかオレンジかバラのべこ餅作りをした後、グループ替えをして、実演するべこ餅の柄をグループ毎に決めて、2回練習をしました。小菊、小さな花、かたつむり、バラ、青リンゴ→富士山、うさぎ、さくらんぼ、祝文字、キャンデー→ミニオン→四海巻き。色の濃さや細かい部分の形まで考えて、工夫して、調整して、本番に備えました。

 発表会当日は10回目のべこ餅作りです。もう生地作りはお手のもの!すぐ近くでお客さんにじぃーっと手元を見つめられてとても緊張しましたが、練習の時よりも手際も良く形を作っていきました。そろそろそろ…と心配しながら切ってみると…カワイイ模様が現れて「わぁーーすごーい!」とたくさんの拍手をいただきました。他に、粘土での体験コーナーが人気でお客さんが絶えることがありませんでした。

 学習発表会後はふりかえりをして、きんたろうの総合をどのように締めくくるか相談しました。やりたかったクッキーや飾り巻き寿司を…という意見もありましたが、結局、今まで10回の経験と技を生かしたオリジナル模様のべこ餅を作ってみようということになりました。使う生地も今までで一番多い400グラム!レシピを探し出したり、今までの模様をアレンジしたり、イラストから計算をくり返して新しい模様に挑戦したり…グループによって違いはありましたが、みごとにオリジナルべこ餅を作りました。「ダメかも…失敗かな?」とドキドキしながら切ると…
  切って びっくり! ふたご みつごのきんたろう でした。

5年2組からのトピック


「作ろう!学ぼう!日本のうちわ」
 うちわ完成に向けてラストスパート!2学期の間に薄く削っておいた竹を、次は彫刻刀やなたを使って細く割き、うちわの骨にしていきました。ここまで来れば簡単にできる…かと思いきや、細くし過ぎて折れてしまったり、思うような本数にできなかったり。苦難はまだまだ続きます。それでも挫けず、毎回毎回チャレンジする中で、十数本、二十数本にまで竹を割けるようになっていきました。
 「あれ?うちわのカマ(弓)を付けるには、穴を開けなくちゃいけないよ!」一難去ってまた一難、次は竹の節に穴を開けるという新しい作業が必要に。ここでは、ハンドドリルや電動ドリルの使い方を研究して、どうにかカマを通すことを目指しました。
 みんなで活動を進めていくと、それぞれの作業に「職人」が生まれていきます。なた、のこぎり、やすりがけ、穴開け、骨を広げる作業、糸で編む、貼り工程…あえてグループを作らずに活動をしてきましたが、自然と得意分野をもって、役割分担をしていくようになっていきました。「ここ教えて!」「そこは私がやるから、こっちはお願いしていい?」総合の時間には、友達同士の会話が飛び交っていました。
 一人が1つ作っていくうちわは個人による作品、一人一人の活動です。しかしその製作過程の中には大勢のクラスの仲間がかかわり、協力していました。ある子は「骨組みを編むのも、竹をさくのも、うちわの貼り工程も全部、みんなや先生に教えてもらいました。なので、自分のうちわはみんなで作った、みんなのうちわだと思いました」と、振り返っています。仲間と作っていくからこそ、難しいことにも勇気をもって挑戦し、根気の要る作業にもねばり強く、励まし合いながら取り組んでこられたように思います。
 本当は和紙も一から作った手作りした物を貼りたかったのですが…そこまでは力及ばず。ただ、障子紙に絵の具で絞り染めの模様を付け、オリジナルの紙を貼ることができました。出来上がったうちわを使い、ひな祭りの日にはちらし寿司を作ったという子もいました。
 カリタスの歴史の中でも初めての挑戦だった“うちわ作り”。最後は「あの生えている竹から作ったんだと思うと…何だか、すごいね」と、みんなで笑って話しました。

5年1組からのトピック


「いつもそばのそばにいたい」
 第4回目のそば打ちは1/21、Mさんがお願いをした加瀬名人と一緒に、1つ1つの手順とポイントを押さえながら行いました。その際、水回しが一番大切なこと、菊練りとヘソ出しを丁寧にする事を教わりました。そして麺切り包丁で切ってみたいという意見が出ました。すると、3人の人が持って来てくれました。
 そして1/31の第5回目は、名人に教わったことを皆で1つ1つ確認しながら丁寧に打っていきました。すると・・・どの班も見事成功!さらにそば切り包丁で切ると細く真っ直ぐ切れたのです。「やはり道具は大切なんだな」と何人もの子が振り返りに書いてきました。
 2/7の第6回目は、五割そばから七割そばへと、そば粉の割合を増やしての挑戦です。やはり麺切り包丁のおかげで細い(長くはないのですが)おそばになりました。今回も大成功です。
 すっかり自信を持った子どもたちの最後の挑戦は3/4。いよいよ十割そばに挑戦です。丁寧にそば粉に水を入れてほぐしていきます。でも、捏ねに入ると早速問題点が現れました。生地がぽろぽろとくずれてしまい、上手くまとまらないのです。結局その生地を捏ねて切って茹でても、細くつるっとしたおそばにはなりませんでした。結局おそばらしくなったのは8班中、たったの1班だけでした。やはり十割そばは難しい!自分たちの自信がもろくもくずれてしまいました。
 1年間、テーマ決めとそば打ちで終わってしまった5年1組の総合ですが、総合委員を中心に、失敗を皆で考え、工夫してきた活動をとても楽しみ、一緒に取り組んだことで生まれる団結力や探究心を実感しました。
 学習発表会では、「自分たちのあゆみや調べたことを伝えたい!」と積極的に説明する子が何人もいました。そば打ち体験を粘土で行なうことも子どもたちのアイデアと工夫から実現しました。

4年3組からのトピック


「うどんの達人」
 2学期に4回うどん作りに挑戦した子どもたち。徐々に腕前を上げてきたのですが、なかなか満足できる「もちもちでコシがあって長いうどん」にはなりません。そこで、どこかに「讃岐うどんの達人」がいないか、学校に来てうどん作りを教えてくれる方がいないかを、香川県のアンテナショップ「せとうち旬彩館」の館長に相談をしました。
 そして3学期になり、さぬき麺業の香川社長がわざわざ香川県から来てくれることになりました。今までは、うどんを作って食べ終わるまでは3時間ほどかかっていたのですが、香川社長は1時間半で作って食べ終われる、と言います。正直そんなに早くは出来ないと思っていたのですが、大きな声でぐいぐいと教えてくださるのでいつも以上に手際よく作業が進みました。「最初の1分、指を立てて必死に材料を混ぜる。ここで美味しいうどんになるか決まるよ」「あと7分、混ぜ続ける」「肉まんみたいに生地をまとめる」「こうやって生地を伸ばせば四角くなるよ」「17分ゆでるんだよ。足し水は絶対しないよ」とうどん作りのコツを教えてくださいました。また、「みんな上手だね。何度も作っているのがわかるよ」と褒めてもらえました。食べてみると、「今までで一番美味しい」「つるつる、もちもちでコシがある」と大満足でした。
 翌週、自分達だけで同じように作れるかやってみたいという願いが出てきました。香川社長から教わったレシピを、皆で思い出し確認してから作り始めました。この日は麺切りまで学校で行うことにして、全員が混ぜる・生地を踏む・生地を伸ばす・麺切りなど全ての作業を行うようにしました。一人でも美味しいうどんが作れるようになることが最終目標です。出来上がったうどんは、見た目は香川社長と作ったときとほとんど一緒です。家に持ち帰り食べたところ「前回と同じ、美味しいうどんだった」という感想が次々とは発表されました。「ついに、私たちうどんの達人に近づいたね」という呟きも聞こえてきました。
 学習発表会の日は、実際にうどん作りの姿を見せることにしました。4人で協力して手早くうどんを作る姿にこの1年間の成長を感じました。
 クラス全員が一人で美味しい讃岐うどんが作れるようになりました。

4年2組からのトピック


「おいしさ米るパン作り」
 3学期に入り、みんなでパン作りができる回数がわずかとなりました。「もう米粉パン作りをした方がいいんじゃない?」という声も。しかし、「まだ吉永さんのアドバイスを生かして作っていないよ」「学習発表会では、来てくれた人に、これまでで一番おいしい丸パンを食べてもらいたい」という意見から、6回目も丸パン作りをすることになりました。今までよりも、さらに「生地になるべく触らない」ということを心がけたところ、中に層ができてしまうグループが無くなりました。

 いよいよ学習発表会です。みんな、「おいしく食べてもらえますように」という思いを込めて生地を捏ねました。当日は、他の学年の人や保護者に試食をしてもらいました。「おいしい!」「お店で売られているパンみたい」と言いながら、笑顔で食べる様子を見て、達成感を感じることができました。後日、アンケートを見ると…満点のものがたくさん!目標の点数を大きく上回ることができ、「やったー!」という歓声と拍手が起こりました。

 そして、最初で最後の米粉パン作りをしました。これまで7回も丸パンを作ってきたものの、初めてのパンを作ることには不安がありました。しかし、今までやってきたことを信じて、思いを「米」て作りました。出来上がりは…表面が割れてしまうものもありましたが、中はふわふわもちもち!みんなでおいしく食べました。

 最初と最後に作ったパンを比べると、見た目もふくらみも、まるで違いました。試行錯誤しながらどれだけ腕を上げたかということが、一目瞭然です。しかし、最初の小麦団子のようなパンも、子どもたちは「おいしい!」と言いながら食べていました。それは、見た目が悪くても、固くても、「おいしいくなってほしい」という思いを込めて一生懸命作ったからでした。「時間をかけて作ったパンには、作った人の思いが込もっていておいしい」ということに気づいた一年間でした。

4年1組からのトピック


「メロスと共に 走れ4−1 〜 みんなで劇をつくろう! 〜」
 12月に『走れメロス』のキャストを決定して冬休みを迎えました。冬休み中は、それぞれが台本を読み深め、自分の役をどう演じたらよいかを考えながら台詞を練習する時間となりました。
 冬休みを明けて1月。いよいよここから本格的に劇を創りあげていきます。まずは、場面や役毎に集まっての読み合わせ。そこで「こうした方がいい」「そこはこっちの方がいい」など、子どもたち同士で意見を出し合って進めていきます。自分一人でイメージして練習してきた冬休み中とは違い、みんなでイメージを共有していくことになるので、それまでとの違いに戸惑っている子も見られました。でも、一方で、なかなか一人ではイメージがわかなかった子が、一緒に始めたことによってイメージが生まれてきた子もいます。この辺りで「みんなでつくる!」という目標へ向かっていく姿がありました。
 4年生は1月に冬の宿泊活動があり、雪いっぱいの黒姫高原で思い切り雪と触れあってきます。これはカリタスの宿泊活動の中でも子どもたちの思い出ナンバーワンに挙げられる活動でとても貴重な経験です。でも、一方で総合を進める上ではなかなか時間の確保が難しくなる…。読み合わせ、立ち稽古(練習)、そして舞台稽古(練習)と進めていくのにはちょっとタイトなスケジュールです。
 それでも、子どもたちは「自分たちでつくりあげたい!」という思いがあるので、頑張って練習に励みます。特に、実際の舞台に上がってからの加速度はすごいもので、どんどん演技プランを練り上げていっていました。最初は小さな声だった声が体育館中に響く声になったり、小さくぎこちなかった動きが大きく自然な動きになったり。その変化は毎回見ていて楽しいものでした。
 途中で6年生で劇に取り組んでいるクラス(3組)とお互いに観賞し合って、気づいたことを伝え合ったことがあります。「声が大きかった」「台詞がないところでの演技がしっかりできている」などの嬉しい言葉は子どもたちの自信に繋がりました。 さて、そして迎えた学習発表会。在校生、保護者の方、大勢の方が観てくださる前で子どもたちは堂々と演じることができました。「大勢で緊張した」という声はもちろんですが、「なんかわくわくして楽しかった」なんていう声もあり、子ども達は「メロスワールド」を自分たちで創りあげていきました。

3年3組からのトピック


「作ろう!楽しもう!きょだいめいろ」
 6つのアイデアをもとに、早速、製作スタート。ハンガーを使ったり、机を使ったり、どうにかして巨大迷路につながる糸口を探すことに。活動を続けていくと、「もうちょっとでできそう」「あとちょっと」という声が多く聞かれるようになってきました。しかし、よく見るとできているのはほんの一部分。このまま本当に完成するのだろうか。そんな不安の声は子どもたちの日記にも綴られるようになってきました。活動する中で生まれるこうしたもどかしさとそれを打開しようとする子どもたちの総合への思いは本当に活力に溢れています。
 このままでは終わらないのではないか、日記に綴られた言葉はあせりよりも「どうすればよいか」と前に向いて考える子どもたち。そこで、あらためて子どもたちが考えたきょだいめいろ作りの計画書を眺めてみると、「迷路の基本=設計図」だけを飛ばして活動しています。子どもたちにそれを見せると、「迷路の基本の設計図だけやっていない」と気付き、設計図をあらためて作ってみることになりました。設計図というものは、簡単そうで難しいです。しかし、活動を通して本当に困っている子どもたちにとっては光になるかもしれない大切な手段です。
 設計図を書いて数日、今度は「今の設計図では教室には作れないよ」という声が出ました。そう、設計図はあくまで配られた紙に書いたもので、教室を想定したものではありません。この言葉から二人の子どもが設計図を書いてきました。「机を使った場合の設計図」「ブロックを使った設計図」線の上に何を置くかで設計図が変わることを自ら考えた設計図を使って説明してくれました。難しさもありますが、活動してきたクラスには「何となく」でも意味が伝わっています。そして、「それならできるかもしれない」という期待感もクラスに芽生えてきました。そこで、実際に教室に設計図を使って再現することにしました。
 再現してみると、机を使った設計図は時間通りに作り上げることができました。しかし、机の幅があり教室の中に作ると、どうしても簡単な迷路になってしまうという欠点がわかりました。一方、ブロックで作る方は時間通りに完成しませんでした。迷路としての難しさは確保することができそうですが、ブロックの数が足りないという欠点が分かりました。
 そして、もう一つ、「工作ブロックで想定していたけど、実際はダンボールブロックを使ったから幅が変わってしまい、教室の幅では足りない」ということも分かりました。そこで、クラスみんなで「新設計図」を作り上げることにしました。
 ここで子どもたちがこだわったのは、2組の先生です。「2組の先生を基準に幅を決めたい」という強い思いを持っていました。この思いから2組の先生の通れる幅とダンボールの幅を足すことによって、「ダンボールを線に置いても通れる」幅を求めることができました。
 ここからは、教室に実際の線を引き、新設計図を子どもたちが考え、あとは「ダンボールブロックの数」との戦いです。ダンボールを組み立てたり、大きすぎるダンボールを崩して自分たちが集めているダンボールに作り直したりあらゆる手立てを使って、材料集めを行いました。子どもたちはダンボールを組み立てる人、設計図通りにブロックを積み上げる人、ブロックの型を切り取る人などそれぞれが分担を請け負い、一生懸命に動いていました。最後の1週間はほぼ「材料作り」ですが、大変さの中にもみんなで一つのことに向かう「楽しさ」にも溢れているように感じました。
 学習発表会でたくさんの型が来場され、その方々の笑顔が見れたことを子どもたちと分かち合い、「絆」を感じた一年でした。